みんなみんな、どこか不完全なんだ。
あれからずっと黙ったままで、何も言わない。
まるで、昔に戻ってしまったようで。
そう、確かにそここに居る筈なのに、まるで居ないかのような。
そんな、どこまでも希薄な存在感。
呼びかける。
やはり返事は無い。
最初は少し驚いた。
でも、よく考えてみればあれが普通なんだ。
今までのほうが、きっとおかしかったんだ。
それなのに、どうして元に戻ろうとする?
また、何も無かった頃のように。
普通だから、それが、あまりにも近すぎたから、気がつかなかった。
あまりにも自然な不自然に。
また、扉を閉ざすの、 空 ?
・
・
・
感情なんて、持ち合わせていない筈だった。
全部、なくしたはずなのに。
そう、「もう一人の自分」を手にかけた、その時から。
胸の中がもやもやする。
イライラする。
混乱する。
こんなの、自分ではないと。
また、自分は後悔する。
過去を。
出会いを。
そして憎む。
世界を。
全てを。
ならばどうすればいい?
また、元通り仕舞ってしまえばいい。
そうすればほら、また元通り。
「僕」は「自分」を取り戻す。