人から出て来るもの、それが人を汚すのである。
すなわち内部から、人の心の中から、悪い思いが出て来る。
不品行、盗み、殺人、姦淫、貪欲、邪悪、欺き、好色、妬み、誹り、高慢、愚痴。
これらの悪はすべて内部から出てきて、人を汚すのである。
(マルコ7:20〜23)
† 快楽遊戯 †
目の前に横たわる紅く染まった白いモノ。
この手に握るはその赤と同じ赤に染まった小さな『 キョウキ 』。
「あは・・・は・・・あはは・・・っは・・・・っ。」
自然と不自然に、笑いがこみ上げてくる。
どうしたことだろう!
この世界はこんなにも儚く
こんなにも脆弱で
こんなにも美しく
こんなにも穢れている。
笑い声とともに背中が盛り上がり、弾け、大きな翼が広がる。
夜の闇よりも深い、一片の光さえも無い漆黒の翼。
目の前に転がったものが小さく引きつった音を出し、息を吸った。
そして小さく呟く。
「ば・・・・バケモノ・・・・・」
「・・・・なんだ、まだ生きてたんですか?」
どこまでも冷え切った声で言い、目の前に転がるソレに力いっぱい蹴りを入れる。
ソレはまるでゴムマリのように大きく跳ね、ぐしゃりと音を立て壁にぶつかり、潰れた。
まるで、汚らわしい虫でもつぶしたような顔で、既に原型がわかりづらくなってしまっているソレを一瞥する。
「興醒めですよ。」
ヒュッ、と。
手に持ったモノをダーツのように投げる。
どす、と。
鈍い音を立てて突き立つ。
後はもうまるで興味は無いといった様子でソレラに背を向ける。
明日になれば「ニンゲン」の「ケイサツ」がソレラを見つけるだろう。
だが、そんな事に興味は無い。
あるのは只、「自分」という餌に食いついてくる愚鈍で醜い「ヒト」という名のケモノを「狩る」という、娯楽。
狩る側が狩られる側を一方的に殺すだけの、快楽嗜好の、たんなる「ゲーム」。
この行為を狂っていると言うのであれば、この世界は、既に狂っている。
「あなたたちが悪いんですよ。先に始めたのは、あなたたちの方なのですから。」
「狩る側」と「狩られる側」。ただ、攻守が逆転しただけ。
闇色の翼を広げ、空へと舞い上がる。
紅い月の夜に、黒い雪が降る。
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